2014年11月28日

B to Bのボドゲビジネスについて考えてみる

ボドゲを作り始めてからというもの、このブログがビジネスからゲームそのものの話に移行している気がします。 これでは当ブログの差別化が十分にできていない!
というわけで、久々にビジネス的ブログを書いてみます。

つい先日、twitterで下記の会社の情報が回ってきました。

ボードゲーム専門クラウドファンディング 合同会社wird様
プロジェクト“A-JORITY”
http://www.wird-net.com/index.html

詳細はご覧になっていただければと思いますが、ニッチ市場に特化したコンサル型制作支援サービスという理解です。報酬形態は実績の10%〜ということで、Camp fireやKick starterなどの仕組み。
これら既存のクラウドファンディングサイトと比較した場合、A-JORITYはその新規性もあって、圧倒的に露出度・認知度が低いでしょう。この場合、どのように資金を集めるのかという点に、非常に興味があります。というのも、前述のサイトの成功要因はアクセス数(認知度)と決済システム(信用)であるためです。新規でニッチな市場に特化している場合、どういう風にプロジェクトをブランディングしていくのか、ここが非常に重要なポイントのはずです。

このプロジェクトの強みとしては、開発・製造・販売まで一括でサポートを受けられる点で、この需要がどの程度あるのかというのも気になる点です。現状私含め作品発表レベルで作っている方が多い中で、どの程度コンサルを受けることに価値を見出すのかは分かりません(たくさん売りたいというより、仲間内で作るのが楽しいという段階?)。ただ、新しい試みは常にワクワクするものですし、うまくいくといいなぁと思います!

さて、これはいわゆるB to Bに近いモデルのビジネスです。これまでこのブログではB to Cの話(というかマーケティング的な話)にフォーカスしてきましたが、ちょっとこの機会にB to B(正確にはB to B to Cまで含む)のビジネスについて、考えてみようと思います。

まず、ボードゲームのバリューチェーンについて整理をしてみます。

1. ゲームシステム開発
2. アートワーク
3. (資金調達)
4. 製造
5. 広告宣伝
6. (物流)
7. 販売

3と6については制作側によって異なるので、括弧書きとしました。
前述のA-JORITYは3を中心とした1〜7の包括サービスなB to Bですね。
フローを参考にしながら、B to Bでビジネスを考えてみます。現段階でビジネス性があるか(儲かるか)は基準にせず、主観的に面白いか(あったらいいなぁ)を基準にしています。

※思いつくままに書いておりますので、既に存在するものもあるかもしれません。
またボードゲームだけを対象にしたビジネスモデルにはなっていません。その点はご容赦ください。

その1
【会社・製品をPRするボドゲ開発サービス】
「ゲームデザイナー⇒企業・団体」

BtoCのメーカーやあらゆる団体が伝えたいことをゲームにしますよ、というゲームデザイナーによるサービス提供。
難しいテーマを難しく伝えることは簡単!問題は、コミュニケーションは常に受け手が決めるということです。つまり、伝わらなければ伝える方が悪いと私は考えています。

たとえば新製品発表会などで、一方的なプレゼンをするのではなく、記者を巻き込むスタイルをとれると、情報拡散性は上がるでしょう。言葉や映像は他者が介在する余地はないですが、ゲームにその世界観を落とし込めれば他者でも体験ができます。体験できると没入感が上がり、印象に残ると思います。

難しいのはあらゆるものがゲームシステムに落とし込めるのか、という点ですね!
これはおそらくテーマによって向き不向きがあって、日常から縁遠いことを、ゲームを通して知ってもらう、みたいな感じがいいのではないでしょうか。
簡易なプロモーショングッズとして使用するのもありかも。

その2
【ものづくり共同広告サービス】

「広告プロフェッショナル⇒個人・団体でものづくりをする人たち」

全てのものづくり大好きさんたちへ、画期的な広告サービスのご提案です。
ボドゲ制作を含む、まだまだマイナーな領域は、一般層へ情報を拡散させる術があまりないです。そのため、同じ趣味の人たちの中でマーケットが形成され、広がりにくい構造になっています。「いや、俺はもっといろんな人に俺の作品を知ってほしいんだ!」という人、結構いるんじゃないでしょうか……?

そんな人たちが、広告テーマ、ターゲットと広告予算を設定します。Web広告のプロフェッショナルのサポートのもと、同じターゲットを狙っている人と共同で露出度の高い所に広告ができます。出資金額に応じて共同広告内の面積が変わるのか、広告出現率が変わる感じでしょうか。

その3
【ものづくりマッチングサイト】

「Webデザイナー⇒ものづくりをする人」

自分の趣味・得意を形にしたい人たちが集まるサイト。
各自がプロフィールを登録し、案件企画者がサイトにモノ作り企画を登録。求められているスキルを持っている人の元に案件が飛んでいく。
クラウドソーシングとの違いはお仕事じゃないよ、ってとこ。趣味レベルのスキルをレベルアップさせる、何かアウトプットをしたい人たちの、大人の遊び場的な位置づけ。
メンバー登録を月額課金にするのか、プレミアム機能課金にするのかでマネタイズする感じ?

その4
【テスト出店の支援サービス】

「イベント企画屋⇒ボードゲーム制作団体」

ボードゲームは流通に弱いきらいがあります。ポテンシャルはあると思うのです、認知されていないだけで……。
ヴィレッジバンガードなど少し尖ったものを販売しているショップとコネクションを持っている人が、ボドゲを店頭でテスト的に販売することを支援します。ビジネス案2と同様、いくつかの団体に共同出資をしてもらう形でしょうか。
ボドゲに限らず、マイナー分野を露出度の高い流通でテスト販売するのを支援するサービスは需要あると思います。鍵は流通側と強く握れるネットワークを持っているか、ですね。

その5
【施設への普及】

「ボードゲーム制作団体⇒様々な施設」

地方の旅館に行くと、木製のTパズルがあったりします。
ホテル、旅館などの宿泊施設、病院、老人ホームなどの介護施設、学校などの教育施設など、「人が集まる」「時間がある」場所にポテンシャルありかなと。
一定数無料配布+ルール簡単(インスト動画にアクセス可能)+通販ありの状態にして、広告塔になってもらう or 販売実績あるなら強気に売り込みもできそう。
問題は耐久性や紛失。最終的なご家庭での購買につなげるための導線が、とても大事だと思います。


儲かるかを別にすれば、いくらでも楽しそうなことはありそうです。というか枠組みが適当すぎて抜け漏れだらけですが、ご容赦ください……!
(今後も追記していくかも)

ボードゲームという領域でとらえるのではなく、個人のものづくりにフォーカスすれば、色々広がりは出そうな気がしますね。それだけで規模は大きくなりますし、ある程度のボリュームもとれそう。
個人的には2と4があると、やりたいことへの近道になるなぁと。

皆さんが考えるボードゲームに関わるビジネスアイデアがあれば、シェアくださいませ。案外書き出してみると、「これできるんじゃない?」とか思うから不思議ですね!

【ボードゲーム制作サークルPR】
こたつパーティー(こたパ)
「あなたの毎日に、もっとボードゲームを!」
WEB:http://www.kotatsu-party.com/ 
ブログ:http://kotatsu-party.sblo.jp/ 
Twitter: @kotatsu_pa

Podcast「こたトーク!」
「あなたの隙間時間を、ちょっとだけ彩るボードゲームトーク」
http://kotatsu-party.sblo.jp/article/104937190.html
posted by らりお at 12:47| Comment(0) | アイデア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月21日

【コラム】インスト中、嫁の目は死んでいないか!?

ゲームマーケット2014秋、出展者の皆様お疲れ様でした。
どのブースも非常に忙しくされていて、あまりご挨拶できませんでしたが、個人的には雰囲気ともども大満足でした。

来場者数はさらに増えたようで、ここ数年毎年10%弱で成長している感じでしょうか。この感じは、イケてる業界の成長曲線に近いですね! 着実に火が付いてきているとみていいと思います。
しかも、市場規模や認知などについては、まだまだ伸び白はありそうです。私も作る側でも遊ぶ側でも盛り上げに関わっていければなぁと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

ともあれ、久々の更新になってしまいました。
このブログもなんだかんだで、7月から開始して計3万以上のアクセスをいただいております。ありがたいお話です、というか完全に想定外です。正直、細々と思ったことメモ書きしよう、みたいな感じでしたから! これも拙文に興味を持ってくださる方々のおかげですね、ありがとうございます!

さて、今回のテーマは「ゲームのルールを普及する」ということで、コラムらしく、ゆるふわ系でお届けします。ほんとはこういう文章書く方が好きです。

話は数日前、ゲームマーケット後の我が家に遡ります。
「おーい、イソノー、このボドゲやろうぜー!」
意気揚揚と嫁にGMで買ってきたゲームをプレイさせようとする私。
「このゲーム、めっちゃおもろいから! これな、勝利条件はこれで、お互いの手番で……クドクドクドk(5分くらい続く)」
すごーく分かりやすく、理路整然と話しました! 理解できないはずがありません。オープン会ならこれで、するりとゲームプレイできるはずです(自信過剰
にもかかわらず!!

気づいたら嫁の目が死んでいた事件。

……Why!?

私、オープン会はほぼインストされる側で、インスト聞くの大好きなんですよ。
だってワクワクするじゃないですか。ルール聞いて、たぶんこのゲームの勘所はここだなぁーなんて思いながら、トライ&エラーしていく感じ。ボードゲームにおいてインストはゲームの一部なんですよね。

一方、私が良くボードゲームを一緒に遊ぶのは、「ボドゲなにそれおいしいの」な人たちが多いんです。家に呼んで、「たこやきパーティー」した後とかにやるんですけど。

するとですね、そもそも彼らのボドゲに対する最初の期待値がめっちゃ低いんですよ。
「どれ、サイコロ一つ振ってやればいいんだろ^^」くらいな感じからくるわけで。そんな彼らに淡々とインストしてみても、大抵前述の嫁のように目が死ぬ人がでてきます。

嫁に話を聞いたところ、「ボードゲームは、やってみると面白い。が、インストを聞くのがめんどくさい!」と、ボードゲーマー泣かせなことを言ってきました。
「別に聞いたらルールは分かるでしょ?」
「基本は分かるんだけど、この場合どうするとか多すぎ。あと点数の取り方とか覚えられない。説明が3分くらいを越えるともう嫌になってくる、というかやる前に飽きる。あと、絶対自分で説明書からルール覚えて人に教えるとかやりたくない。誰かが教えてくれるなら、なんとかやれるけど」
「不満だらけやんけ……」

ははぁ、なるほど。
おそらく彼女の場合、ボードゲームへのハマり方(モチベーション)が高くないのです。ですから、懸命にルールを覚えよう!という姿勢がそもそもありません。まぁ、こういう人にボードゲーム買ってもらうのは無理だよねー……。
とか思っていたわけですが、よくよく考えてみると、たぶん世の中的にはそういう人が大半なんですよね。だから、市場は伸びてはいるもののまだまだ知らない人が多い世界なのかなと思ったり。

つまり、インストは彼ら彼女らにとって、楽しむ要素というよりは立ちはだかる巨大な壁!進撃の巨人に出てくる、そう、あんな感じの!
そんなとき、いかに素早く梯子をかけて、目が生きたままの状態で楽しませるか!
インスト中は彼らにとってドラクエのバリア床を歩いている感じな気がします。宝箱にたどり着く前に死んでしまっては元も子もありません。

脱線しましたが……それで、もっと言うと、誰かに教えてもらって覚えたルールを、簡単に他の人に教えてあげられる循環をうまく作れるか、というのもありますね。
「ゲーマー⇒ノンゲーマー⇒ノンゲーマー」の流れが確保されていくと、とってもスムーズに市場が広がっていく気がします!市場を盛り上げようぜ、っていう大きなイシューに対して、実はここがすごーくクリティカルじゃないかなと個人的に思っています。

じゃあ、具体的にどうすんのよと。
いくつかのアプローチで考えてみます。

まず根本的なルール設計を、めちゃくちゃ分かりやすくしようというもの。
(あくまでノンゲーマーにメインに遊んでほしい!というゲームのお話です)

マジカル7っていう法則があるのですが、人が短期的に覚えていられていることは7±2とかなんとか言われています(プレゼン資料の1枚のスライドに入れるキーワード数とかでよく使われている気がします)。
なので、重要なことはこの範囲内、可能なら5つくらいに抑えたらいいんじゃないかなと。
例えば、既にルールがほぼ普及しているゲームを考えてみると……。

ババ抜き
1. はじめに、手札で2枚揃っている数字のカードを捨てます
2. 右(左)の人から1枚取ります
3. 取ったカードで、また2枚揃っている数字カードがあれば捨てます
4. 最後にババが手札に残った人が負けです

大富豪(超ベーシック)
1. カードを最初に無くした人が勝ち
2. 3が一番弱くて2が一番強い。でもジョーカーはもっと強い
3. 前の人が出したものより強いものしか出せない。
4. 同じ数字なら何枚でも一緒に出せる。その場合、次の人も同じ枚数それより強いカードしか出せない。
5. ジョーカーは単独でも使えるし、何かと一緒にも使える
6. 4枚同じカードを出したら革命。強さが逆転する
7. 負けた人は次のゲームで最も強いカードを買った人に渡す
+ご当地ルール多数(8切り、ロック、イレブンバック、スペ3、下剋上、都落ちetc)

多分、ババ抜きは90%以上のルール認知率があると思いますが、大富豪は10〜30代くらいの世代でも50〜60%くらいまで落ちるのではないでしょうか。これはルール数と相関性がありそうです。でもそれでも、これだけあれば十分ですね!

……ただ、ここまで削ぎ落とすのはとても難しいですよね。作っているから分かるのですが、ある程度ゲームとしてのオリジナリティを出そうとすると、どうしても複雑化してしまうもの。この間、自作ゲームをメンバ0に披露したところ、「処理多すぎて、らりおがいないと絶対できない」と言われました!ワーン

ですから、うちのサークル「こたつパーティー」では「3分でインストできるか?」というのを一つの基準にしています。実際やって見せて、という動きを付けて説明していると3分は結構一瞬です!
3分で説明できないなら、簡素化するのか、重要事項は減らすのか、ということです。
感覚的に遊べる、というのもとても重要な要素ですね(この辺はもっと深堀できるかも)。

で、重要なのはこっちのほう。
インストの再現性をどう高めるか。ボードゲーマーじゃない人たちにゲームを買ってもらって、彼、彼女たちが、家族とか他の友人と遊んでもらうとき、今度はその人がインストする必要があります。この壁が高い、しかもかなり。

私はもうここについては、ダイナミックに放棄してもいいんじゃないかと。
いや、諦めるということではなく、別にこの人たちにインストしてもらわなくていいやと! なんなら、画面の中の私がやりますよと!

つまり、インストを動画にして、すぐアクセスできる環境にすりゃいいんじゃないかと思います。最近はどんなゲームにもチュートリアル的なものがありますが、全てシステム的に行われていますよね(というか、そもそも私たちがビデオゲームなりをするとき、説明書読みませんし……。)
それと同じで、「これを見れば、あなたもこのゲームをすぐ遊べる!」というインスト動画のQRコードなりを、パッケージにつけてしまう。
スマホ大前提(Ipad大歓迎)ですけど、みんなでスマホ画面見れば、それでゲームが遊べてしまう!これなら重ゲーでもOKかも!? もちろん、煩雑な部分は別途サマリーがあるというのは、重ゲーの場合は大前提でしょうけどね。

これは多分効果があって、根拠もあるのです。
その名も「メラビアンの法則」!!(なんかかっこいい)。
人が記憶にとどめる、理解するなどの場合、どういった方法が良いかみたいな話です。
いわく、印象の残り方は言語7%、聴覚38%、視覚55%です。
つまり、ルールブックの文字情報を読んで記憶に残ることは7%なわけです!(愕然
ということは、100%理解するというのがいかに努力を要することか……。
私たちゲーマーは誰よりも早くゲームをプレイしたいから、新作ゲームを読み込んでインスト準備をしちゃったりする、ことゲームに関してモチベーションの高い人たちです。しかし、多くの人はそこまでやってくれません。

私は松岡修造氏がとても好きなので、よく例に出すんですけど、彼のブログで「熱くなれよー!」とだけ書かれていたら、たぶん多くの人が「あ、はい」で終わっちゃう。
彼が動画メッセージで激しい息遣い(笑)、興奮した様子で、こちらを見て「熱くなれよー!」とか「圭、ここであきらめるな!」というから、心に残ります。

私はインストもそうなのかなと。文字を解読させるのは大きな負担です。
プレイ動画も重要ですが、インスト動画がもっと増えることで、例えB君にボードゲーマーな友達がいなくても、B君が自分でゲームを買って誰かと簡単に遊べるようになるのは、素敵かなぁと思っていたりします。彼らにとっての壁を下げてあげる仕組みを持つということですかね。

ただ、最終的にはそこからボードゲームにどっぷりとハマって、自分でインストしてみたい、みたいな気持になる人が出てくれば、それはまたうれしいですね! やっぱりインストすること含めて、ボードゲームだよね、というのはなんかありますものね。

まぁとりあえず、うちのサークル「こたつパーティー」は、狙ってるターゲットが割とノンゲーマーに寄っていますから、そういうハードル下げの仕掛けは積極的にチャレンジしようと思っています。
さぁ、まずはAviutlでの動画編集から勉強しましょう!!(遠い目


【ボードゲーム制作サークルPR】

こたつパーティー(こたパ)
「あなたの毎日に、もっとボードゲームを!」
WEB:http://www.kotatsu-party.com/ 
ブログ:http://kotatsu-party.sblo.jp/ 
Twitter: @kotatsu_pa

Podcast「こたトーク!」
「あなたの隙間時間を、ちょっとだけ彩るボードゲームトーク」
http://kotatsu-party.sblo.jp/article/104937190.html
posted by らりお at 15:55| Comment(2) | ボードゲームコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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