2014年07月25日

【コラム】日本のボードゲーマーと優良ベンチャー企業の社員に通じるもの

前回の記事「現在の日本ボードゲーム市場規模を推測してみる」に、思った以上の反響があって驚いている。Twitterの拡散能力に舌を巻いたが、それ以上に多くの方がこういう事に興味があるということにも驚いた。正直、自分用のメモ書きレベルにしかならないと思っていたからだ。とてもありがたく思っている。

ところで、このブログでは非常に硬い言葉を意図的に使い、タイトル通りの真剣さを出しているが、中の人は「ちゃらんぽらん」であり、そもそもボードゲームを始めてまだ2ヶ月ほどである(2014.7月末時点)。そんな素人に何が分かる、と諸先輩方にはお叱りの声を受けそうではあるが、逆に言えばボードゲームの世界は私にとって非常に新鮮な世界であり、この目線から見た市場分析と立案は、それはそれで面白いのではないかと自己満足ながらに思っている。もし引き続き読んでいただける方がいらっしゃれば、ぜひ色々とご教授願いたいと思っている。

さて、ようやく本題である。今回は「当ブログを作った私の意図」について、コラム風に書いてみたい。

私の好きな著書の一つに、一橋大学教授の楠木健氏の「ストーリーとしての競争戦略」がある。氏曰く、戦略とはストーリーで語られるべきものであり、筋の良い戦略は次々と話がつながっていくものだというのだ。
例えば、「まずAをやると、次にBの需要が出てくる。それに対してCの打ち手をするとDになって、これがまたBの需要を増やしてくれる」。このような好循環を生み出すストーリーは筋がいいと言える。そして、こういう時の語り部は非常にイキイキとしているものだ。

これと同様に、戦略を立てる前の仮説はストーリーでなければならない。
前回の記事で書いた日本のボードゲーム業界における市場規模の考察は、確かに仮説の「一部」ではあるが、それをもって、いつ、どこで、何をして、「最終的にどうなっていたいのか」。この将来の理想像まで描いた仮説を立てる必要があるということに思い至った。
従って、環境分析を行う前に、まず「私」はここで一体何を目指しているのかを言語化することにした。

このブログで私がやりたいことは以下の通り、とても単純である。

『日本のボードゲーム業界を盛り上げ、※ビジネスとして成立させるための事業アイデアについて、オープンにディスカッションする場を設けること』

※「ビジネスとして成立する」の定義は、私の見解だが、ボードゲーム業界に関わるすべてのステークホルダーが努力によって利益を確保でき、「持続的に成長できる」という状態を指す。開示資料が少ないため、現在成立していないとは断定できないが、私は以下の推測を立てており、ビジネスとして成立していないと
した。
・少なくとも国内ボードゲーム作家ベースで見れば赤字、もしくはほとんど利益がないだろう
・市場規模が3〜5億だとすれば、各ステークホルダーの利益確保は非常に厳しいだろう
・そもそも、この市場に特化したビッグプレイヤーがいない(ホビーという、より大きなカテゴリーの一部としては存在している)。つまり、参入の魅力が無いと思われている

私の調べた限り、ボードゲームのレビューサイトは数あったが、この切り口にフォーカスしたサイトが見つからなかった。
私自身レビューサイトやボドゲ会レポートサイトには非常にお世話になっていて、読んでいるだけでプレイ欲を掻き立てられるものが多い。この点では、ボードゲームそのものに関しての情報整備はかなり充実しており、遊び始めてもらえさえすれば、自然と転がっていきやすいと環境であるといえる(プレイスペースの問
題はあるが)。つまり、市場活性化の下地はあるのだ。

問題はその最初の一歩に人々を呼び込む戦略だ。
私はこのブログにおいては、ボードゲーム市場を有望と見込んでいる起業家であると、自らの立ち位置を仮定している。
そのため、環境分析⇒実現可能性のある戦略⇒アクションプランへの落とし込みを行い、「行ける!と思えれば自らやってみよう」のスタンスで臨みたい。単なる評論家で終わっては面白くないので、このスタンスは個人的にとても大切にしたいと思っている。

だが、そもそもこんなことは勝手に個人でやっていればいいし、オープンな場に情報を公開しては「いざ、やってみよう」というときに、既に他者によって実行済みということになりかねない。

それでもなおオープンな場に考えやアイデアを書くのは、私が感じたボードゲームプレイヤーの性質にある(当然それは私の中にもあると思う)。
私がボードゲーム会に参加するたびに思うのは、全員がエンターティナー、つまり相手を楽しませたいと思う気質を持っており、その上で、「皆がボードゲームを愛していて、広めたい、多くの人に知ってもらいたいという気持ちを強く持っている」と思ったことにある。

個人的に、これはとてもすごいことだと思ったのだ。例えば私はメーカーに勤めているわけだが、自社製品を溺愛し、それを他の人に勧めたいと思う人がどれくらいいるだろうか。セールスならともかく、管理系の人はどうだろうか。あるいは、他社に勤めている同僚からその商品を「これ、本気で良いものだから試して
みな!」と目を煌めかせて勧められることは、あまりないと思う。
私の場合友人の母親から保険を勧められることだけはよくあるが、明らかに自分の営業成績、ノルマのため、つまり背後にお金が透けると敬遠してしまうのが人間の常である。
また、他の趣味と言われるジャンルにおいても、ここまで人に勧めるというのは珍しいと思う。

このボードゲームプレイヤーの気質は、成功しているベンチャー企業の社員に似ていると私は思った。彼らの多くは、社長もしくは自社製品、サービスに惚れこみ入社しているため、それらを心から人に勧めている気がする。これは自らの体験に根ざしており、感情も乗るため、とても説得力があり人々の心を動かす。資金力のないベンチャーにとって、これは大きな競争力の源泉の一つであると私は考えている。
※当然、大前提として本当にその商品が良いものであるという事実は必要なわけだが。

何が言いたいかというと、日本のボードゲームプレイヤーは、「ボードゲーム」という大きな括りのベンチャー企業の社員みたいだ、ということである。この「心から人に勧めたい」というスピリットがあるからこそ、電子ゲームが優勢であった日本市場においても、一定の勢力を保ってきたのではないかと推測するわけである。

では、なぜボードゲームプレイヤーはそのような性質を持っているのだろうか。
それは、おそらく以下のような意識が絡み合っているのだと思う。

・プレイ人口の少なさに危機感を覚えている
・プレイする人が増える⇒一緒に遊べる人が増える⇒自らのプレイ機会が増えるという自己利益につながる
・人に紹介するとほとんどの場合楽しんでもらえる、喜んでもらえる、驚いてもらえる⇒他人に貢献する喜びを感じられる
・モノが本当によく、これを知らないともったいないと心から思える

つまり、ボードゲームを勧めるという行為は、「自己利益につながりつつも、相手にも利益になる」という理想的なWin-Winの関係を内包している。その利益がお金に関連するものではないため、お互いが気持ちよく満たされるわけだ。これによる口コミ拡散度の速さが、ボードゲーム市場を広げる上での大きな武器になるのではないか、と私は考えている。

私は姑息にも、そんなボードゲームプレイヤーの性質に乗っかって、「広めるためにどうすればいいか」という記事をベースに議論や意見を聞きたいと考えている。その動機の一つとしては、より確度の高い考察、分析、立案そして最終的に実行をして、何か一つでもベンチャー企業である「ボードゲーム」に貢献できる
ことがないか。自分なりにできることを探していこう、と思っているわけである。

次回は、5年後の日本のボードゲーム市場がどうなっていたら嬉しいか?について考えを書いてみたいと思う。

【まとめ】
・当ブログの目的は「日本のボードゲーム業界を盛り上げ、ビジネスとして成立させるための事業アイデアについて、オープンにディスカッションする場を設けること」である。

・分析、考察は単なる評論家で終わらず、イケるという手ごたえを感じれば自ら行動を起こすというスタンスをとる。

・ボードゲームプレイヤーはベンチャー社員に共通する気質を持っている。その理由は、ボードゲームを広めるという行為に、良質なWin-Win関係の構築フローが内包されているからである。これによる口コミ拡散の速さは、当市場を盛り上げる上での一つの強みである。

【当ブログの執筆者について】
HN:らりお
性別:男
出身地:大阪府堺市
居住地:神奈川県相模原市
勤務先:メーカー海外担当
担当:東南アジア市場における海外マーケティング、営業企画
勉学:現在MBA取得に向け経営大学院に在籍
ボードゲーム歴:2014年5月末〜
Twitter: @rario_in_wonder
Skype: himemiya3939
posted by らりお at 22:15| Comment(0) | ボードゲームコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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