2014年07月31日

【コラム】リアル脱出ゲームはなぜ成功したのか?

【リアル脱出ゲームの概要】
最近、Facebook上などで「リアル脱出ゲームに行ってきた」などのポストを見る機会が増えた。

リアル脱出ゲームは2007年から主催した同企画から、2008年に株式会社SCRAPが運営を手がける体感型クイズ系サービスである。主にイベント会場を貸しきって大規模〜中規模の企画を実施しているが、最近は常設店も増加している模様。現在大規模店3店、海外店舗を含む中型店15店と都市部を中心に展開しており、20〜30代の若者を中心に注目度が上がっているとのことである。

価格は1回あたり3,000円弱、所要時間1.5時間くらい。映画よりは割高な設定である。
株式会社SCRAPは社員数7名で、2014年時点での売上高1億2,000万円。
単純計算だが、これは1.2億円÷3,000円=40,000人の年間動員数である。
進撃の巨人とのコラボ企画では2日間で9,600人動員らしいから驚きの一言。これは成功しつつあるといっていいだろう(利益の面から見れば、このビジネス特化だけでは厳しいだろうが…)。

ボードゲームとリアル脱出ゲームは異なるものだが、アナログなゲームという点では似ている(ゲーム性という意味では質が異なることは棚上げで…)。
成功の要因を分析をすることで何か活かせる点はないか。そんな視点で簡単に分析をしてみよう。

【リアル脱出ゲーム、成功の要因はなにか?】
そもそも皆、リアル脱出ゲーム何を求めて参加しているのだろうか?

・演出から感じられるスリル
・仲間との協働体験
・漫画、アニメとのコラボによる世界観
・手応えのある謎解きへの挑戦

ざっくり言えば、「体験×仲間×挑戦」に分解できそうだ。
つまり、「皆で一緒に何かやろうぜ!」。そんな体験には若い世代の需要があるわけだ。
同じような例としてカプコンノキラータイトルであるモンスターハンターシリーズがある。こちらも「独特の世界観と演出*臨場感のあるマルチプレイ*高難度の敵」と要素は同じようなものを備えている。
あの「一狩り行こうぜ」のコンセプトを一般層にまで落としこんで具現化したのがリアル脱出ゲーム、抑えているポイントとしてはとても良い。

もう一つは、手軽なアトラクションという側面。
リアル脱出ゲームのような体験は、そもそも遊園地などの限られた空間内の一つのアトラクションというのがこれまでの位置づけだった。それを公演、イベントスタイルに捉え直して提供した、着眼点が良かった。
人は生活の中でマンネリからの脱却として何らかの刺激を求めるが、例えばTDLに行かなくても新しい体験ができる場所があれば、一定の需用は見込めそうである。

マーケティングの4Pの側面から言えば、上記がProductionにあたる。
もう一つ重要な点として、Promotionを挙げておきたい。

リアル脱出ゲームの認知度が高まっているのは大きく分けて2つの要因があると考える。
1つは、これはWeb上でフリーで公開されていた脱出ゲームをベースにしており、元のコンセプトの認知度がそもそもネットユーザーには高かったこと。
もう一つは、メディア戦略で成功していることである。着目すべきはこちらである。

SCRAP社はイベント運営に加えて、フリーペーパーを発行しており、取引先にメディア関係社も少なからずあったようだ。その人脈もうまく活用しながら、TV番組としての企画(しかも21時というプライムタイム)、各種漫画、アニメとのコラボを実現させたことが、当該イベントの認知度を爆発的に上げたのは間違いない。
元々、コラボしやすいという特性のある形態というのも奏功している。
また、メディアにおけるイメージが一部のフリーク向けではなく、大衆向けになったのはかなり大きな成功要因だろう。非常にうまくメディアを活用されているなぁという印象を受けた。

【ボードゲーム市場を成功させるために学べることは?】
そもそもリアル脱出ゲームは、運営会社がすべて用意し設計して提供するサービスであるという点が、ボードゲームとは異なる。もちろん、ボードゲームをイベント形式で提供するという、同様のビジネスモデルを企画できないことはないのだが、性質上難しそうだ。

それでも共通点として、様々なボードゲームが提供するゲームシステムは、プレイヤーにとっての「新たな体験」を提供してくれる。特にテーマ性の高いボードゲームは、その世界観も相まって、プレイヤーを不思議な世界へを導いてくれる。
またボードゲームは基本的に誰かと一緒にプレイする、コミュニケーションが必要であるという点からも「仲間」の要素がある。
「挑戦」という部分に関しては、パンデミックなどの協力型ゲームではその要素があるものの、基本的には「対人戦」という面では少し性質が異なるかもしれない。
しかし、総合的に見れば20-30代の大衆需用に合致しそうな面が多いことに気付かされる。つまり、現在ボードゲーム市場は日本のサブカルチャーに属しており、大衆文化とはなっていないが、認知さえ進めば受け入れられる裾野は十分あると、私は考える。

そのため、最も学ぶべきことはPromotion手法に他ならない。
いかにメディアを活用して、ボードゲームのイメージを作っていくか。きっとサブカルチャーとしての発信を続けていても、市場としての伸びは難しい。少なくとも私の目指す5年以内100億円には絶対到達できない。
メディア戦略の一つとしては、彼らが好みそうな真新しい企画の立案と発信だ。ボードゲーム市場には現状情報発信者が少ない(そもそも大企業の参入がないことが原因だが)。
例えば、人狼のように。TV企画として取り上げやすいボードゲームベースがあれば、非常に発信しやすい。
今後はゲームとしての楽しさはもちろんのことながら、「どうメディアに取り上げられるか」、「どう他企業、他業界とコラボするか」という視点が求められる気がする。

【ポイントの整理】
・リアル脱出ゲームは「体験*仲間*挑戦」という3つの要素を掛けあわせて、20-30代の若者層を取り込むことに成功した。

・成功の要因の一つは、「TV番組の企画になる」、「漫画、アニメとのコラボレーション」などのメディア戦略により、スリリングながらもフリークではないイメージを作り出すことに成功した。

・ボードゲームにはリアル脱出ゲームの要素に近いものがあり、似たような一般層へのターゲティングは可能なはずである。

・メディアへの発信者が必要。今後のボードゲームには、面白さはもちろんのこと、メディアへの取り上げられ方や他業種とのコラボという視点も求められるだろう。
posted by らりお at 23:26| Comment(0) | ボードゲームコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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