2014年09月03日

ボードゲームの作り手はどうすれば増えそうか?

【作り手の視点からボードゲーム業界を俯瞰する】

これまで私のブログでは、主に遊び手の視点から市場分析をしてきた。
しかし、今実際にボードゲーム制作プロジェクトを立ちあげ、色々と進み始めたところで、少し疑問に思ったことがある。

「そもそも今の日本のボドゲ業界には、どのくらい制作サークルがあるんだ?」
「それはコミケと比較したらどうなんだろうか?」
「もし非常に少ないなら何が原因か?そしてどうすれば改善できるのだろうか?」


2014年ゲームマーケット春の出展サークル数は約300である(企業ブース除く)。
来場者数が6,500人なので、1サークルあたりの来場者は約21人である。

対して、2014年夏コミの出展サークル数が約3.5万。
来場者が55万人なので、1サークルあたりの来場者は約16人となっている。
(1サークルが来場者を16人集客しているという数字の見方)

なるほど、こうしてみるとゲームマーケットの作り手が特に少ないということはなさそうだ。
一方で、コミケと相対的に見れば、
「作り手が増えれば買い手も増える」⇐⇛「買い手が増えれば作り手も増える」の相互作用は働いていそうである。

【ボドゲと同人誌の間にある作り手のギャップ】

上記の関係性があるのであれば、「作り手を増やす」というアプローチは市場の活性化につながることになる。では、どうすればボードゲーム製作者、またはサークルを増やすことができるだろうか。
それを考えるにあたって、ボードゲーム制作と同人誌制作の間にある大きな壁について触れておきたい。

ボードゲーム制作には次の2点において、圧倒的に同人誌制作よりハードルが高いと言える。

1. リスクとリターンのバランスが悪い。

同人誌だと小ロットの印刷で100部制作しても約1万円だ。500円で販売すれば20部で損益分岐点を迎えることになるため、回収の見込みを立てやすい。
一方ボードゲームは化粧箱、説明書、カードetcにそれぞれ版代がかかり、原価が高い。需用も読みづらく、100個製作時の損益分岐点は80個以上の販売になるのが大半だろう。

単に原価の話だけではなく、その後の展望に関するインセンティブも異なる。
同人誌であれば漫画家、web販売など展開が望める(可能性は低い)ため、将来的な目標に向かって頑張りやすい。一方、ボードゲームは現在のところ、ボードゲームデザイナーという職種はなく、市場流通も限られているため、インセンティブに弱いところがある。

つまり、短期的・長期的の両面において、リスクとリターンのバランスが悪い。
ボードゲーム制作におけるリターンは、「他の人に自分のゲームをプレイされたい」という感情要素が大半を占めるだろう。それはとても大事なことであるし、私もそのために制作Pを立ちあげているが、一方で「夢を見られる」部分があってもいいと思う。


2. ゲーム制作そのものが難しい

同人誌は大半が元ネタがあり、「絵を描く」、「話を作る」技量があれば作品にできる。
一方、ボードゲームにおいては、「絵を描く」、「説明書を分かりやすく書く」、「ゲームシステムを作る」、「入念なテストプレイを繰り返す」など開発までのステップが多い。
一人で全てをハンドリングするのはおそらく大変で、仲間との協力が主になってくる。
そうすると、「まとめあげる力」も必要で、ROIまで考えるなら「コスト管理能力」も必要だ。
当然、仲間を探すネットワークも必要になるだろう。

【どのような施策が作り手を増やすのに有効か?】

基本的には上述の1と2を解決する施策を打てば、作り手にとって魅力的な市場になる。
当然、一番の施策は游び手を増やして市場を大きくすることだが、今回はそれを抜きにして、いくつか施策をピックアップする。

1. リスクとリターンのバランス改善のための施策

・短期的な原価低減の手法は、大量生産と流通確保が最大の課題。そのためには結局遊び手が増えなければならないため、根本的な施策はない。

・「夢」というインセンティブを与える施策としては、「日本国産ボードゲーム大賞」の創設だろう。その際は創設団体が流通の責任も持ち普及させるなど、具体的な特典が必要だ。賞は認知されなければ意味が無いし、その受賞は製品にとって市場的価値を与えなければならない。

2. ゲーム制作の支援策

・ドロッセルマイヤーズさんがやっておられるようなゲーム制作ワークショップ、セミナーの開催。

・誰かと一緒に何かを作りたい人々をつなぐネットワーキングサービスの立ちあげ。例えばキャンプファイヤーはプロジェクトの実行者と出資者という関係だが、このサービスでは互いの能力を活かして協業⇛全員が出資者となり、出資分の利益分配。

・テストプレイ会の実施。既に有志の方々で実施されているが、企業側の支援姿勢があれば良い。また、ある特定層のユーザーの意見を聞きたい(例:中高生)場合の、テストプレイマッチングもあれば面白い。


遊び手も作り手も、互いに互いを盛り上げながら、ボードゲーム市場全体を成長してほしいし、させていきたい。まずは私自身が、作り手の一歩を踏み出している所です。
posted by らりお at 00:09| Comment(0) | 市場分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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