2015年12月01日

ココロとアタマで、ボードゲームをデザインしてみる

この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2015の
9日目の記事として書かれました。
http://www.adventar.org/calendars/749

今年も懲りずに参加させていただきました。
「ココロとアタマで、ボードゲームをデザインをしてみる」
そんな切り口で、語ってみようかと思います。

logicandemotion.jpg

【ココロでボードゲームデザイン】

さて、ココロとアタマ。
この順番が、実は大切です。
ココロというのは、感情の話です。
僕は、というか、もしかしたら”僕ら”は、かもしれませんが、
常々、「感情的になってはいけない」と教えられてきました。
あらゆる点で僕は冷静であろうとします。
できるだけ、怒らない、悲しまない。
そしてそれを、できるだけ顔に出さない。

特に社会に出てからはその傾向は顕著になります。
あまりに感情的な人は、周囲から煙たがられますし、
なにより、面倒くさいやつに思えます。

だからかもしれません。
僕は常にロジカルであることこそが重要だと思ってきました。
感情に身を任せず、論理的に説明をすること。
「なぜそれはそうなのか」を語ることです。

最近は、世の中の流れも、この方向に加速している気がします。
例えば、ビッグデータ、というものがあります
これは、人々の何気ない行動をデータでロジカルに解析し、
何が”あの人”に受け入れられるかを探っているわけです。
つまり、人の無意識や感情による行動を論理化しようという試みです。

しかし、逆に言えば。
僕らは感情をうまく使うことをあまり意識していないのかもしれません。
そもそも、そういう訓練を受けてきていないのです。

確かに、僕は仕事で企画を考えるときも、
また、ボードゲーム制作をしているときも、
まずアタマで考えている気がします。

例えば、これは誰に、どういうシーンで遊んでもらって、
何がそのゲームシステムの核となるのか。
どういう時に、人は楽しいと思うんだろうか。
今ここが足りてないから、こういう要素を足せばいいんじゃないか……。
(それはこのブログの一連の記事を見ても大体分かるかと思います)

しかし、何か、違う気がするのです。
僕は最近、このやり方にすごく限界を感じ始めました。

なぜなら、これはまるで、徐行運転のようなのです。
少しアクセルを踏んだと思ったら、すぐにブレーキを踏んでしまう。

アタマで考えるとき、僕は常に理想と現実のギャップを意識してしまいます。
そしてそこには、いつも見えない常識の壁があります。
だから、すぐにアイディアにストップがかかってしまうのです。

「これがこうだったら、変だよな」
「ちょっと無理そうだよね」

これでは、飛躍的なアイディアにたどり着くのは困難です。
圧倒的に、助走が足りていないからですね。

そんなときです。
先日、すごくいい話を聞くことができました。
予防医学研究者の石川善樹さんという方がいらっしゃるのですが、
その方の対談イベントに参加したときのお話です。

彼が言うには、
「飛躍的なアイディアは、何も最初からすごいアイディアだったわけではない」
「つまり、そういうアイディアは育てて、生まれるものだ」
「そして育てるためには、誰かと感情を合わせることが大切だ」
というのです。

※前提として「一人より複数人の方がより良いアイディアを出しやすい」があります

この「感情を合わせる」というのがミソなのです。

どういうことかといいますと。
挙げられた例として、万有引力を発見したニュートンの話がありました。

僕の友達ニュートンくんが、ある日いきなりこんなことを言い出します。

「なぁ、らりおくん。ちょっと思ったんだけどさ。昨日寝転がってたら、
リンゴが木から落ちたんだよ……。これってさ、よく考えればすごくね!?」

それに対して僕は、きっとこう言うでしょう。

「おいおい何を言うんだ、ニュートンくん。
そんなことは当たり前だろう。今に始まったことじゃないじゃないか。」

これは感情ではなく、論理が先行しているための反応です。

しかし、ここで仮に私が
「確かに、確かに。それはすごいことかもしれないね!なんでだろう?」
と、感情を合わせてみるとします。

すると、通常なら潰れるはずのアイディアが、深堀される余地が出てくる。
つまり、一緒にアクセルを踏みきることができるわけです。

何かを考えるときには、「発散」と「収束」の段階があります。
感情(ココロ)でアイディアを発散させ、
それから論理(アタマ)で収束させていきます。

そして、この発散において大切なことは
十分な距離の、長い滑走路を用意しておくことなのです。
つまり、発散しても良い場で、発散できる相手と一緒に飛ばなければなりません。
論理が先行しすぎている相手や、冷めている相手、
またはそういう慣習のある場所は、S字カーブのようなものです。
そういう場所で感情アクセルを全開で踏むと、事故につながります。

これをボードゲームデザインにあてはめてみますと。
(それだけでなく、あらゆることに当てはまることなのですが)

●最初のゲームのアイディア出しは、感情優先で行うこと。
 つまり、楽しい、怒り、幸せ、不思議、な状態について”妄想してみる”。
 例えば、こんな言葉から始めてみることです。
「こんなのあったら楽しくない?」
「俺はとにかくこんなのがほしい!!」
「この前ゲームしてて、これにムカついたんだよなぁ」

※そして、感情で語る時には、「なぜ?」を考えない。
 理由を考え始めると、頭が論理思考に切り替わってしまいます。

●それを2人以上で、同じような感情のレベル(テンションといってもいい)で、
 一緒に語ってみること。
 例えば、こんな会話がいいですね。
「こんなのあったら楽しくない?」
「あー分かる!そういえばこの前さ、こんなのがあって……」

※理想的なのは、ただ相手に同調するわけではなく、
 マジカルバナナ的に発展させられることです。
 「もしこうだったら、こんなのもあるよね」
 「○○っていえばさ、こういうの楽しいよね」

ところで、上の例でもあげたような言葉って、どちらかというと
「女性的」だと思うんです。

例えば、我が家でもよくあるシーンとして、

嫁「昨日○○にこんなこと言われたんだけど、ほんとにむかついた」
夫「なんで○○がそんなこと言ったのか、考えてみたらいいんじゃない?」

みたいなのが、よくあります。
……ありますよね?

これは嫁は感情で語って、夫は論理で返してるパターンです。
そして、多くの場合、嫁の機嫌を損ねることになります。

でも、不思議なことに、女性同士だとそうはならないことが多いのです。

嫁「昨日○○にこんなこと言われたんだよ。ほんとにむかついた」
嫁友「あー分かる。そういうこと言われるとむかつくよねー」

これ、男性だと、なかなかできない反応ではないでしょうか。
嫁友は、ごく自然に、相手の感情レベルを合わせることができてます。

ですので、「感情のレベルを合わせる」ということを訓練しようと思えば、
まず、同調してみることです。
そして相手と一緒の絵を共有してみる。
最後に、そこから飛躍して妄想してみることです。

また、この発散する段階でパートナーに女性がいると、
アイディアを育てやすいのではないか、とも思っています。


【アタマでボードゲームデザイン】

さて、ここまではココロ(感情)をうまくつかって、
飛躍したアイディアを出してみよう。
そんな話をしてきました。

アイディアを発散したら、次は収束しなければいけません。
ここではアタマ(論理)が活きてきます。
つまり、男性的発想が活躍しやすいといえます。

さて、ロジカルに考えるためには、分解です。
物事はとても複雑です。
ぼやっとした全体を見ずに、パーツに分けてみることが大切です。

ボードゲームを分解すると、何になるでしょうか。
色々な分け方があるかと思います。
例えば、デザイン×ルール×コンポーネントでしょうか。

ただ、制作するという観点においては、
まず、「構造」と「バランス」に分けてみてはどうでしょう。

例えば、ここに2つのゲームがあるとしましょう。

「ゲームA」
1. 5枚のカードを配られる。
  カードにはそれぞれ、サイコロの1〜6に対応した効果が書かれている。
2. カードのいずれか1つを使う
3. サイコロを振り、その数値に応じたカードの効果を発動する

「ゲームB」
1. 5枚のカードを配られる。
  カードにはそれぞれ、サイコロの1〜6に対応した効果が書かれている。
2. サイコロを振り、その数値に応じたカードの効果を発動できる
3. カードのいずれか1つを使う

この二つのゲームは、手順の2と3を入れ替えただけですが、
プレイ感は全く異なるゲームになります。

ゲームAはより運要素の高いギャンブル的ゲームに感じられますし、
ゲームBはより戦略性の高いダイスプレイスメント的ゲームに感じられるでしょう。
(もちろん、勝利条件など、他の要素によって変化はありますが)

ボードゲーマーであれば、ゲームBを好む気がしますが、
どちらがゲームとして面白そうか、は今回の重要なテーマではありません。
発散フェイズで自分が作りたいと思っていたものを実現できているかどうか。
そこが作り手にとっての良し悪しの基準になります。

もし私の作りたいゲームが戦略性を重視しているにも関わらず、
ゲームAになっていた場合、これは「構造」に問題があるといえます。

手番の最後のアクションがランダム要素になっている場合、
どうしても運の要素が大きく感じられます。
最後に「自分で決める」という意志が入っていないわけですから。

解決するには、ゲームBのような手順にするか、
もしくは振った後のダイスをコントロールできる要素を入れる、
などがあるでしょうか。

一方、もしゲームBの構造になっているにも関わらず、
運の要素が強いと感じられた場合、これは「バランス」の問題かもしれません。

例えば、サイコロで6の目を出したときにあのカードを先に使えば、
ほぼ勝てるという状況があればどうでしょうか。
こういった不均衡は運の要素を高める原因となります。

発散フェイズで、「こんなゲームを作りたいよね!」という理想像を描き、
収束フェイズで、それを実現するための構造を作り、バランスを整える。

誰かにテストプレイをしてもらうとき、これは収束フェイズにあたりますので、
指摘があったポイントは「構造」の問題なのか、「バランス」の問題なのかに分けて考えてみると、解決が図りやすいと思います。

【まとめ】
今回の記事の内容は、普段から何かを作るという活動をされている方からすると、
とても当たり前のことかもしれません。
ただ、これまでそういった経験がなく、「初めて自分たちでボードゲームを作ってみた!」という私には、とても面白い考え方でした。

以下、まとめとなります。

●ココロ(感情)で考えを発散させて、アタマ(論理)で収束させる
⇒安全に1km進むより、100km進んで95km戻ったほうが結果的に進んでいる!

●1人で飛ぶのは難しい。感情のレベルを合わせてくれる相手と、話してみる
⇒同調力が高い人、女性がいるとアイディアは発展しやすいかも!

●ゲームアイディアを収束するときは、「構造」と「バランス」に分けて考える。
⇒発散から出た理想像と現在とのギャップが、どこにあるかを明確にしてみる!


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2015年05月28日

「ボードゲームって何?」に対するベストアンサーを考えてみる

久々に実家の大阪に帰り、高校時代の旧友と飲んでいた時のこと。
「最近休みの日は何してんの?」とよくある話題へ。

ギター、カフェ巡り、テニスなどなど……
当たり障りのない趣味(失礼)で、ほどほどに盛り上がる。
そんな中、なんとなく流れで僕の番へ。

「え、俺はあれやん。ボードゲーム」
「……(1.5秒の沈黙)、へぇ〜」

……うん、分かってへんな。
「人生ゲームとかしてんのかな、こいつ。いい歳して…ぷぷぷっ」
という感じが伝わってくる!

「ボードゲームって何?」
「それは……えっとな。世界にはトランプとか人生ゲーム以外にも色々なアナログなゲームがあんねん。それぞれが独自のルールで、こうなんていうか、運と戦略のバランスがいいジレンマのあるゲームなんよねー」
「……(3秒の沈黙)へぇ〜」

やっぱ分かってへんやん!!!

と、このような体験はボードゲーマーの皆様なら1度はあるのではないでしょうか。
「ボードゲームって何?」と聞かれた時に、我々はなんと答えればいいのでしょうか。

毎回いきあたりばったりな回答をしてしまうので、今回は自分なりのベストアンサーを作ってみたいと思います。

【どうなったらベストなのか?】

そもそもから入りましょう。
「ボードゲームって何?」を伝えた後、どのような反応をされたらベストなのか。
例えばこんな感じですよね。

「へぇ〜面白そう!今度一緒にやりたい!」

要するに、「感動」や「驚き」。このあたりの感情をくすぐる言葉で返すことができ、聞き手の「やりたい」という「好奇心」に結び付けられれば、それはおそらくベストアンサーでしょう。

ちなみに、今回の記事はボードゲームの定義について語るものではありません。
あくまで、前述のようなシチュエーション、つまり相手が全くボードゲームというものを認知していない状況のとき、何を伝えれば相手をワクワクさせ、やってみたいと思わせるのか。そこについて考えてみるものです。

また、ベストは誰に伝えるのかによっても異なります。例えば50歳の女性に伝えるべき事と10歳の少年に伝えるべき事は違うでしょう。
今回のケースは自分によくあるシーンとして、20-30代の男性を想定して話を進めます(そうは言いつつも、なるべく誰にでも刺さりやすい言葉を模索してみますが)。

【重要なのは定義ではなく、ストーリー】

ここで、以前書いた記事をもう一度掘り起こしてみます。

「心に残るアイデアを伝えるためのチェックリスト」
http://begin-boardgames.seesaa.net/article/407444971.html

この記事の中で、伝えて記憶してもらうための重要な要素を書きました。それが以下の6つの要素になります(詳しくは前述のリンクから記事をお読みください)。

1. 単純か?
2. 意外性があるか?
3. 具体的か?
4. 信頼性があるか?
5. 感情に訴えかけているか?
6. 物語性があるか?

特にこのうち「物語性」ということに着目してみます。

つまり、私は今まで「ボードゲームはどういうものか」を定義的に説明しようとして失敗していました。しかし、この手のアプローチでは心に響きにくい。「ああ、そういうのもあるのね」で終わってしまう可能性が高いのです。
なぜなら、そこには物語性がなく、イメージしにくいからです。

そして、私は考えました。
要は「ストーリー」を伝えればいいのではないかと。

多くの人はボードゲームをやってみると「面白い!」と思ってくれます。
でもボードゲームと聞いただけでは、ピンと来ないし、その定義を聞いてもいまいち面白さが伝わらない。
ならば、ボードゲームの面白い部分を、「話を通して体験してもらえばいい」ということです。
つまり聞き手を没入させるストーリーテリングでボードゲームについて語るのです。

そこで、ボードゲームらしいジレンマで、なおかつワクワクして、分かりやすいものは何かを考えてみました。

そうして出来上がったのが、下記のお話です。

【「ボードゲームって何?」に対するベストアンサー】

「ボードゲームって何?」
居酒屋で程よく出来上がった友人が、あなたに尋ねます。

「そうやね、例えば○○君が探検家やとする。仲間5人を連れて、危険いっぱいの洞窟にダイヤモンドを求めて潜っとるわけよ、インディージョーンズみたいに」

ボードゲームが何かを聞いているのに、いきなり探検家の話をされて面食らいつつも、友人はそのシーンを想像して、ふんふんと頷きます。

「幸運なことに、○○君たちは探検の途中でダイヤを10個見つけることができた。その時、5人の仲間と○○君はそれぞれがまだ先に進むか、それとも帰るかを選ぶことになった。つまり、いっせーのでで、帰るか、進むかを宣言することにしたわけよ。今帰ればとりあえずダイヤを持て帰れる。でも、この先進めばもっとダイヤが出てくるかもしれへんで。それこそ20個とか。でも洞窟には危険が多いから、これ以上行けば死んでしまうかもしれへん」

友人は「ほほう」と頷きつつ、「俺なら帰るかな」と何となく考えているようだ。

「ただし! 帰るって決めた人が複数いた場合、今あるダイヤはその帰る人たち全員で山分けや。例えば6人中5人が帰るなら1人2個ずつしかダイヤを持って帰られへん。しかも、一回帰ったらもう洞窟には入られへんねん。でも、先に進むと決めた1人の探検家は、そこから先で出たダイヤは独り占めできるわけよ。さぁ、○○君ならどうする?」

「ええー……悩ましいなぁ。でも、もし1人で帰れたらダイヤ10個を全部一人占めできるわけやろ。うーん……どのくらいその先が危険かってことにもよるよなぁ……ぶつぶつ……」

友人はその悩ましい状況に首をかしげ、どうしようか真剣に考えている。
そこであなたは、友人にドヤ顔でこう言うのです。

「これがボードゲームやねん。今回は探検家っていうテーマやったけど、それこそ服の仕立屋とか、カーテン商人とか、色々なテーマに沿ってこういう良いジレンマがあんのよ。ルールもほんまに多彩やから、飽きひんし、違うゲームするたびにワクワクするで」

「へぇ〜面白そう!今度やろうや!」

やった! 第三部〜完〜


【ポイント】

今回はお気づきの通り「インカの黄金」(ダイヤモンド)をベースにしています。
このゲームのジレンマは個人的に非常に分かりやすく、また想像しやすかったためです。もしかするとより紹介に適したゲームがあるのかもしれません。自分がインストの得意なゲームでも良いかもしれませんね。
ポイントは4つです。

●定義ではなく、ストーリーによる体験でボドゲの魅力を語る

●細かいルールはカット。重要なジレンマパートだけを理解してもらう

●カードを使うなどの表現を使わず、あくまでストーリーとして伝える

●最後の〆で様々なテーマのボードゲームがあり、色々なジレンマがあるため遊ぶたびにワクワクすることを伝える

みなさんも「ボードゲームって何?」に対する鉄板のジレンマ体験ストーリーを考えてみてはいかがでしょうか。案外、何もない状況でそれを体験してもらうのは難しいかもしれません。

この問いが来た時に、必ずボードゲーマーが1人増えるようになれば、遊べる相手がもっともっと広がってハッピーですね。

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2014年11月28日

B to Bのボドゲビジネスについて考えてみる

ボドゲを作り始めてからというもの、このブログがビジネスからゲームそのものの話に移行している気がします。 これでは当ブログの差別化が十分にできていない!
というわけで、久々にビジネス的ブログを書いてみます。

つい先日、twitterで下記の会社の情報が回ってきました。

ボードゲーム専門クラウドファンディング 合同会社wird様
プロジェクト“A-JORITY”
http://www.wird-net.com/index.html

詳細はご覧になっていただければと思いますが、ニッチ市場に特化したコンサル型制作支援サービスという理解です。報酬形態は実績の10%〜ということで、Camp fireやKick starterなどの仕組み。
これら既存のクラウドファンディングサイトと比較した場合、A-JORITYはその新規性もあって、圧倒的に露出度・認知度が低いでしょう。この場合、どのように資金を集めるのかという点に、非常に興味があります。というのも、前述のサイトの成功要因はアクセス数(認知度)と決済システム(信用)であるためです。新規でニッチな市場に特化している場合、どういう風にプロジェクトをブランディングしていくのか、ここが非常に重要なポイントのはずです。

このプロジェクトの強みとしては、開発・製造・販売まで一括でサポートを受けられる点で、この需要がどの程度あるのかというのも気になる点です。現状私含め作品発表レベルで作っている方が多い中で、どの程度コンサルを受けることに価値を見出すのかは分かりません(たくさん売りたいというより、仲間内で作るのが楽しいという段階?)。ただ、新しい試みは常にワクワクするものですし、うまくいくといいなぁと思います!

さて、これはいわゆるB to Bに近いモデルのビジネスです。これまでこのブログではB to Cの話(というかマーケティング的な話)にフォーカスしてきましたが、ちょっとこの機会にB to B(正確にはB to B to Cまで含む)のビジネスについて、考えてみようと思います。

まず、ボードゲームのバリューチェーンについて整理をしてみます。

1. ゲームシステム開発
2. アートワーク
3. (資金調達)
4. 製造
5. 広告宣伝
6. (物流)
7. 販売

3と6については制作側によって異なるので、括弧書きとしました。
前述のA-JORITYは3を中心とした1〜7の包括サービスなB to Bですね。
フローを参考にしながら、B to Bでビジネスを考えてみます。現段階でビジネス性があるか(儲かるか)は基準にせず、主観的に面白いか(あったらいいなぁ)を基準にしています。

※思いつくままに書いておりますので、既に存在するものもあるかもしれません。
またボードゲームだけを対象にしたビジネスモデルにはなっていません。その点はご容赦ください。

その1
【会社・製品をPRするボドゲ開発サービス】
「ゲームデザイナー⇒企業・団体」

BtoCのメーカーやあらゆる団体が伝えたいことをゲームにしますよ、というゲームデザイナーによるサービス提供。
難しいテーマを難しく伝えることは簡単!問題は、コミュニケーションは常に受け手が決めるということです。つまり、伝わらなければ伝える方が悪いと私は考えています。

たとえば新製品発表会などで、一方的なプレゼンをするのではなく、記者を巻き込むスタイルをとれると、情報拡散性は上がるでしょう。言葉や映像は他者が介在する余地はないですが、ゲームにその世界観を落とし込めれば他者でも体験ができます。体験できると没入感が上がり、印象に残ると思います。

難しいのはあらゆるものがゲームシステムに落とし込めるのか、という点ですね!
これはおそらくテーマによって向き不向きがあって、日常から縁遠いことを、ゲームを通して知ってもらう、みたいな感じがいいのではないでしょうか。
簡易なプロモーショングッズとして使用するのもありかも。

その2
【ものづくり共同広告サービス】

「広告プロフェッショナル⇒個人・団体でものづくりをする人たち」

全てのものづくり大好きさんたちへ、画期的な広告サービスのご提案です。
ボドゲ制作を含む、まだまだマイナーな領域は、一般層へ情報を拡散させる術があまりないです。そのため、同じ趣味の人たちの中でマーケットが形成され、広がりにくい構造になっています。「いや、俺はもっといろんな人に俺の作品を知ってほしいんだ!」という人、結構いるんじゃないでしょうか……?

そんな人たちが、広告テーマ、ターゲットと広告予算を設定します。Web広告のプロフェッショナルのサポートのもと、同じターゲットを狙っている人と共同で露出度の高い所に広告ができます。出資金額に応じて共同広告内の面積が変わるのか、広告出現率が変わる感じでしょうか。

その3
【ものづくりマッチングサイト】

「Webデザイナー⇒ものづくりをする人」

自分の趣味・得意を形にしたい人たちが集まるサイト。
各自がプロフィールを登録し、案件企画者がサイトにモノ作り企画を登録。求められているスキルを持っている人の元に案件が飛んでいく。
クラウドソーシングとの違いはお仕事じゃないよ、ってとこ。趣味レベルのスキルをレベルアップさせる、何かアウトプットをしたい人たちの、大人の遊び場的な位置づけ。
メンバー登録を月額課金にするのか、プレミアム機能課金にするのかでマネタイズする感じ?

その4
【テスト出店の支援サービス】

「イベント企画屋⇒ボードゲーム制作団体」

ボードゲームは流通に弱いきらいがあります。ポテンシャルはあると思うのです、認知されていないだけで……。
ヴィレッジバンガードなど少し尖ったものを販売しているショップとコネクションを持っている人が、ボドゲを店頭でテスト的に販売することを支援します。ビジネス案2と同様、いくつかの団体に共同出資をしてもらう形でしょうか。
ボドゲに限らず、マイナー分野を露出度の高い流通でテスト販売するのを支援するサービスは需要あると思います。鍵は流通側と強く握れるネットワークを持っているか、ですね。

その5
【施設への普及】

「ボードゲーム制作団体⇒様々な施設」

地方の旅館に行くと、木製のTパズルがあったりします。
ホテル、旅館などの宿泊施設、病院、老人ホームなどの介護施設、学校などの教育施設など、「人が集まる」「時間がある」場所にポテンシャルありかなと。
一定数無料配布+ルール簡単(インスト動画にアクセス可能)+通販ありの状態にして、広告塔になってもらう or 販売実績あるなら強気に売り込みもできそう。
問題は耐久性や紛失。最終的なご家庭での購買につなげるための導線が、とても大事だと思います。


儲かるかを別にすれば、いくらでも楽しそうなことはありそうです。というか枠組みが適当すぎて抜け漏れだらけですが、ご容赦ください……!
(今後も追記していくかも)

ボードゲームという領域でとらえるのではなく、個人のものづくりにフォーカスすれば、色々広がりは出そうな気がしますね。それだけで規模は大きくなりますし、ある程度のボリュームもとれそう。
個人的には2と4があると、やりたいことへの近道になるなぁと。

皆さんが考えるボードゲームに関わるビジネスアイデアがあれば、シェアくださいませ。案外書き出してみると、「これできるんじゃない?」とか思うから不思議ですね!

【ボードゲーム制作サークルPR】
こたつパーティー(こたパ)
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WEB:http://www.kotatsu-party.com/ 
ブログ:http://kotatsu-party.sblo.jp/ 
Twitter: @kotatsu_pa

Podcast「こたトーク!」
「あなたの隙間時間を、ちょっとだけ彩るボードゲームトーク」
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